次世代ニュートリノ科学連携研究機構

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全体概要

設立の経緯

東京大学におけるニュートリノ物理学の教育研究活動では、これまで理学部/理学系研究科、宇宙線研究所、カブリ数物連携宇宙研究機構を中心に、高エネルギー加速器研究機構をはじめとする国内外機関と協力した研究を進め、大きな成果を上げてきました。特に本学はカミオカンデ装置(実験終了)とスーパーカミオカンデ装置(稼働中)の建設と運転の中核機関として、天体ニュートリノの観測やニュートリノ質量の発見など2つのノーベル物理学賞にもつながる成果の達成に中心的な役割を果たしてきました。これらの研究成果は、ニュートリノ天文学の発展による天体内部や星形成史の解明、素粒子ニュートリノの性質の全容解明、物質の不滅性(陽子崩壊探索)など、将来の研究課題を明らかにし、世界のニュートリノ科学が進む方向を決めたとも言えます。現在ニュートリノ研究は、世界中の素粒子物理学や天体素粒子物理学コミュニティーにより最重要課題の一つとして定義され、米国では国際的な次期計画の建設が開始されています。

そうした背景の中、世界における次世代ニュートリノ研究の基幹設備として、ハイパーカミオカンデ装置を建設する構想が国際研究グループにより検討されてきました。本計画は、日本学術会議の提言「第23期学術の大型研究計画に関するマスタープラン(マスタープラン2017,平成29年2月8日)」において、特に速やかに推進すべき計画「重点大型研究計画」の1つに選ばれ、宇宙線研究所将来計画検討委員会による中間報告(平成29年3月24日)では、所の次期主要プロジェクトとして適切な計画と認められ、早期実現を推奨されています。さらに、文部科学省により策定された大型プロジェクトの推進に関する基本構想「ロードマップ2017」により、計画の着手、具体化に向けて緊急性及び戦略性が高いと認められる7計画のうちの一つとして選ばれています。

本機構は、平成29年に理学系研究科、宇宙線研究所、カブリ数物連携宇宙研究機構の3部局の参画により設立され、平成31年から地震研究所が参加しています。

  • 組織概要

現状と今後

ハイパーカミオカンデ実験計画は、超大型水チェレンコフ実験装置を用いた核子崩壊・ニュートリノ実験計画である。東京大学と高エネルギー加速器研究機構が共同ホストとなり、世界15か国の国際協力のもとに2020年度の建設開始と2027年度の実験開始を目指しております。ニュートリノ振動の全容解明や核子崩壊現象の発見を通して、大統一理論などの次世代の素粒子理論の解明に挑戦します。さらにニュートリノのCP対称性の破れの発見・測定を通して、宇宙の反物質が消えた謎にせまり、宇宙進化史の新たな知見が得られます。またニュートリノをプローブとした超新星爆発や太陽の観測により、天体進化や重元素合成の歴史の理解も深めていきます。KAGRAなど重力波観測との連携も視野に入れたニュートリノ天体素粒子物理学、加速器ニュートリノビームを用いた原子核物理学も含めて、素粒子物理学・地球物理学・天文学など分野をまたいだ研究拠点の創設を目指します。

本連携研究機構は、国際的な協調・競争への対応として、ハイパーカミオカンデ計画の推進及びその推進体制の強化を行います。

目的

現行のスーパーカミオカンデ実験やT2K実験による研究や技術開発を通し、本研究分野の未来開拓を行います。特に基幹設備となるハイパーカミオカンデ装置の準備研究と体制整備、予算獲得に向けた提案活動、承認後の建設推進を行います。

ハイパーカミオカンデ計画実施中心機関の一つである東京大学には、ハイパーカミオカンデの建設と運転の中核となることが期待されており、この役割を確実に果たすために、学内関係者を結集し東京大学としての活動を一体化します。新しい組織では、強力な管理体制による迅速かつ的確なマネージメントと共に、高エネルギー加速器研究機構をはじめとする国内外参加機関との連携の充実を行っていきます。

概要

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